難しい状況下でのキャプテン就任
初代キャプテンである1期生の桜井玲香さんから引き継ぎ、2019年9月から2代目キャプテンを務めたのが1期生の秋元真夏さんです。
ひたすら上を目指してきた結成当初とは違い、すでにトップアイドルとなった中では共通の目標を持つことも難しい状況となり、さらにはコロナ過でメンタルを保つのも大変だった時期とも重なった中でのキャプテンは大変だったと思いますが、メンバーの多くが「乃木坂46が大好き」と言い、活き活きと活動しています。
女性アイドルグループのキャプテンというと、AKB48の高橋みなみさんを思い出す方も多いのではないでしょうか。高橋みなみさんのキャプテン像は、強烈なリーダーシップとカリスマ性で先頭に立ってメンバーを引っ張っていくイメージだと思います。
しかし、乃木坂46のキャプテンは、初代の桜井玲香さんもそうであったように、メンバーに寄り添い、グループの調和を重視するものになっています。グループの雰囲気を大切に、メンバーの個性を認め、伸び伸びとそれを伸ばしていくスタイルです。
自身がキャプテンを務めることについて
自身がキャプテンを務めることについて、秋元真夏さんはFRaUのインタビューで、
「もともと私はみんなをまとめるのが苦手で、キャプテンに向いているタイプではないと思っていたんですよ。だから任命された瞬間は不安しかなかったですね。初代キャプテンの玲香ちゃんは、親しみやすさもありながら、カッコいい背中を見せて引っぱっていってくれた人。でも私はそういうタイプではなかったので、向いていないなりに、自分らしいリーダーシップのスタンスを何ヶ月も考えて、行き着いたのは、一人一人の悩みに寄り添うことです。『よし!私についてこい!』と引っ張ることはできなくても、『大丈夫?一緒にがんばろう』と手を差し伸べる人でありたいと思いました」
さらに、
「みんなから注目されるポジションだけに、表面だけ“いい人”を取り繕ってもすぐにバレてしまうんですよね。それでは信用してもらえないし、私が自分の弱みや悩みをさらけ出す覚悟がないと、みんなも心を開いてくれないと思っていました。もともとポンコツな部分があったので、完璧キャラを演じるのは無理があったのですが(笑)。肩肘張らずに、自然体かつ正直な姿勢でみんなと接するようになってからは一気に信頼関係が強化されたと思います」
(FRAU乃木坂46・秋元真夏が磨き上げた”寄り添い型”のリーダーシップ)
寄り添い型のリーダー
秋元真夏さんが寄り添い型キャプテンとして優れている理由は多々あると思いますが、その笑顔やいじられキャラに代表されるコミュニケーション能力の高さもその一つだと思います。
3期生で副キャプテンの梅澤美波さんは、
(秋元)真夏さんを見ていると、キャプテンとしてすごくしっかりしているし、メンバーのためにいろいろなことを伝えてくれたりするものの、ちょっと抜けている部分もあって(笑)、でも、そんな一面があるからこそ、みんな真夏さんに寄り添えるし、「こんな私でも大丈夫なんだよ」と周囲を安心させられることはすごく大事だなと思ったんです。真夏さんは常々、「副キャプテンだからちゃんとしないと」とは思わなくていいからね」と言ってくれます。(日経エンタテインメント 乃木坂46 Special 2023)
(イーグルス始球式・秋元真夏さん『投げる方向、そっちじゃないです…』)
2022年5月に日産スタジアムで開催された『10th YEAR BIRTHDAY LIVE』で、物怖じしない部分が、緊張感が必要な場面で裏目に出てしまっていた5期生に、グループの将来を考えて指摘した、というエピソード(『日経エンタテインメント ! 2023年02月号』秋元真夏インタビュー)があり、まだまだ社会経験が少ない若い子もいるグループでもあることから、寄り添うだけではまとめることはできない難しさがあることがわかります。ただ、この叱咤は5期生の、引いては乃木坂46のためを思っての叱咤であり、そのことは5期生にも伝わっているのだと思います。
異業種のふたりがほぼ初対面で”レア焼き”なトークを楽しむマイナビニュースのトークバラエティ『初会はお肉で』で、元サッカー日本代表キャプテンの槙野智章さんと対談した際に、
「自分の意見に従わない人がいたらどうするんですか」という槙野智章さんの質問に秋元真夏さんは、
今までは何人かまとめて伝えることが多かったんですけど、一人ひとり響くところが違うので、なんで響かないのか考えて、いろんな方向を試すというか、武器10個ぐらい持って行って、1ダメだったら2言って、2ダメだったら3言って、みたいなのをひたすらやってました。
また「(キャプテンを)実際やってみて楽しかったですか」という質問には、
「楽しかったです!」と即答し、続けて、
メンバー40人ぐらいいるんですけど攻略本作っている気分。全員分の取説が書けるんじゃないかっていうぐらい密にコミュニケーション取ってきた。
2023.2.26に横浜アリーナにて行われた自身の卒業コンサートでは、メンバー全員ひとりひとりに手紙を書いてきたことが告げられました。つまり、それほどメンバーひとりひとりをよく理解し把握しているということです。このことからも、いかに日常的にメンバーと密に接してきたことを物語ります。
そんな秋元さんについて3期生の向井葉月さんは、同コンサート終了後のインタビューで、
真夏さんがどれだけ後輩に愛されて慕われてきたかっていうのは、みんなの涙の量を見ればわかると思うんですけど、こんなにメンバーひとりひとりに寄り添ってくれる人がいるんだ、っていうぐらい優しくて、私たちを支えてくれて、本当に感謝でいっぱいです。
(Making of 秋元真夏 卒業コンサート)
と述べています。
まだ同コンサートの最後に秋元さんは、
生まれ変わっても絶対に乃木坂になりたいし、乃木坂のキャプテンを務めたいです。それくらい大好きな場所でした。
とも述べています。
どんな業界でも、強い組織には優れたリーダーがいます。トップアイドルである乃木坂46を率いてきたキャプテン秋元真夏さんも、その一人です。そのリーダー像は、一般的にイメージされる強いリーダーシップによるカリスマ的存在ではありませんが、ひとりひとりに寄り添いながら並走するという、現代の組織には適したリーダーの形なのかもしれません。
◆乃木坂46に学ぶ人生で大切なこと◆
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