仲の良さ
乃木坂46は、なぜこれほど人気があるのでしょうか。
「可愛い」
「清楚」
「かっこいい」
「ファッショナブル」
「曲が好き」
「ダンスが好き」
「おもしろい」
好きな理由は人それぞれにあるでしょうし、何か一つに絞れるものでもないでしょう。大人数のグループですから、誰を好きかによっても違ってくるはずです。でも多くの人が乃木坂46に惹かれる理由のひとつに彼女たちの「仲の良さ」があるのではないかと思います。
一般的に男性社会は、縦社会と言われ上下関係を重視します。それに対して、女性社会は横社会です。特定の誰かだけが目立ったり、良い条件を与えられたりすると、嫉妬され、出る杭としてたたかれやすい傾向があります。
それが正しいかどうかは別として、女性の集団のネガティブな面として「陰口や嫉妬が多く仲間外れやいじめが起こりやすい」のようなイメージがあるのではないでしょうか?
乃木坂46は、「AKB48の公式ライバル」として2011年に結成されました。当時、AKB48の選抜総選挙が多くのメディアで取り上げられ、大きな注目を集めていました。AKB48の選抜総選挙は、ファンによってシングルの楽曲を歌うメンバーを選ぶ言わば人気投票で、個々人の得票数も発表されることから、グループ内での人気の序列が一目瞭然でした。
乃木坂46は、この選抜総選挙の制度は採り入れていませんが、シングルの表題曲を歌唱する「選抜メンバー」と、それ以外の「アンダーメンバー」への振り分けは、シングルごとに行われています。
誰が選抜メンバーになるのかは、ファンからは「運営」と言われている乃木坂46のマネジメントを行っている人たちが決めています。もちろん、人気の高いメンバーが選抜に選ばれていますが、明確な指標があるわけではありませんし、ただ単に人気だけではなく、そのシングルのコンセプトに合う人、という基準もあるようです。
当初は、この選抜に入るのかどうか、選抜に入ったとして歌唱時のポジション(フォーメンションの何列目なのか、など)により、かなりピリピリしていたときもありました。ファンに有名なエピソードの一つに、4thシングル「制服のマネキン」での秋元真夏さんと西野七瀬さんの話があります。
前作「走れ!Bicycle」で初めて選抜2列目のポジションとなった西野七瀬さんでしたが、デビューシングルからそれまで学業優先(親の意向)のため休業していた秋元真夏さんが、初めて参加する4thシングルで、いきなり選抜の2列目に選ばれた一方、西野七瀬さんは3列目に後退した形となりました。このとき、西野さんは、それまで何の実績もない秋元さんの復帰により、自分が3列目に追いやられた、という思いがあり、秋元さんを受け入れられず口も利かないようなギスギスした関係になってしまいました。
4thシングルから1年以上後になる横浜アリーナで行われた「2nd YEAR BIRTHDAY LIVE」で西野さんが「真夏おかえり、一緒に頑張ろう」というメッセージを出し、これにより二人の間のわだかまりは解消されました。当時のことを西野さんは「自分が子ども過ぎた」と振り返っています。そのほかにも、2015年に公開された活動の舞台裏などに密着した初のドキュメンタリー映画「悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46」には、メンバー同士で言い争うような場面も収められています。
『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』本予告/公式
このようにメンバー同士は言わばライバルでもあるわけですから、結成当初は、必ずしも仲良しだけではない部分も見られていました。
しかし、乃木坂46の冠番組「乃木坂って、どこ?」内で行われた7thシングルの選抜メンバー発表で、久々に選抜メンバーとなった齋藤飛鳥さんの「初選抜がいっぱい出たのが嬉しくて」という言葉に対して、番組MCのバナナマン設楽さんは「なんか今回、他のメンバーが選ばれているのをみんなが喜んでる感じが、変わってきたなという感じがしますね」とコメントしています。
このころから乃木坂46の仲の良さが際立ってきたように感じています。
こんな集団は見たことがなかった
2019年に公開された乃木坂46の第2弾となるドキュメンタリー映画「いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46」で監督を務めた岩下力さんは、それまで乃木坂46のことは名前しか知らなかったそうですが、彼女らに密着し始めた時の印象を映画の冒頭で述べています。
誰もが口をそろえて言う
「私たちは仲がいい」
そんなことは本当にあるんだろうか?
~~~
もしかしたら彼女たちは
長い歳月をかけて純粋培養された
きわめて特殊な集団なのではないか
異常に、仲が良かった
-こんな集団は見たことがなかった-
予告編『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』公式
彼女たちの仲の良さは、ファンの誰もが賛同するところでしょうが、彼女たちの「仲がいい」からファンになった、という人は、それほど多くはないのではないでしょうか?
しかし、グループの人たちの仲が良いということに対して、ファンの人たちがそれを意識することはなくても、その仲の良さが醸し出すグループの雰囲気は感じ取っているハズです。
グループに所属する女性アイドルの宿命としてグループ(アイドル)からの「卒業」がありますが、乃木坂46のメンバーは、卒業するまでのグループ在籍期間が比較的長いのも、仲の良さがもたらしているものでしょう。
人気のあるメンバーが長く在籍することが、さらなるファンを積み増していきますし、そういった人気メンバーの仕事に対する取り組み方などを見て、後輩のメンバーが育っていき、新たな人気メンバーを作り出していくことにより、乃木坂46人気が長く続く要因にもなっています。
アイドルグループに限らず、会社やスポーツチームなど、どんな集団でも、その集団を形成する個々人の関係性が良好でないと、その集団は強くはなりませんし、長くも続きません。
◆乃木坂46に学ぶ人生で大切なこと◆
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