新型コロナウイルスのエンタメ界への影響
新型コロナウイルス感染症の拡大で、エンタテインメントビジネスは様々な影響を受けました。特に大きな影響を受けたのは集客型のエンタテインメントビジネスで、音楽コンサートや演劇・ミュージカル、映画、スポーツなど、観客を集める興行は「不要不急」とされ、開催自粛や休止・縮小、公開延期などが相次ぎました。
ぴあ総合研究所の調査によると、音楽や演劇などのライブ・エンタテインメント市場規模は、2020年に1106億円となり、前年比で80%以上のマイナスとなったそうです。
乃木坂46への影響
当然、乃木坂46も大きな影響を受けました。
2020年3月には、2013年3月に加入した2期生にとって念願であった初の単独ライブが代々木第一体育館で行われる予定でしたが中止となり、その代わりとして配信サービスである「SHOWROOM」で無観客のスタジオライブ生配信を実施しました。総視聴者数は40万人を超え、代々木第一体育館の収容人数を大幅に上回る盛況ぶりとなりました。
また、2020年のゴールデンウイークに東京ドームで3日間の開催が予定されていた1期生白石麻衣さんの卒業コンサートが延期となり、それに伴い白石麻衣さんの卒業自体も延期されました。乃木坂46の人気拡大に大いに貢献した白石麻衣さんの卒業ですから、何とか有観客での開催を模索したと思いますが、残念ながらそれはかなわず、結局、白石麻衣さんの卒業コンサートは、同年10月に無観客配信という形で実施されました。コンサート自体は素晴らしいものでしたが「無観客」というのは、本人としてもファンとしても無念だったと思います。
コンサート以外にも握手会なども、ほぼすべてが中止または延期となり、スケジュールは白紙になりました。ステイホームが叫ばれ外出すらもままならなくなり、それまで慌ただしい日々を送っていたメンバーも、長期間立ち止まることとなりました。
この期間について1期生の秋元真夏さんは、
完全に不安になっちゃって、「握手会とかがないと、こんなにも自分のことを応援してくれる人がいないんじゃないかって気持ちになっちゃうんだ」と、初めて感じました。
(乃木坂46公式書籍 10年の歩き方)
また、3期生の久保史緒里さんは、
あのときは、何も手につかなくなっていました。乃木坂46(の活動)がなくなっちゃった人生になって、抜け殻だったんでしょうね。でも、あの時期に「私の人生は、乃木坂46がなくなったら何もないんだ」ということに気づいて、生き方が変わりました。
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世界中の隣人よ
この未曽有の事態の中で、乃木坂46は、2020年5月25日に「世界中の隣人よ」という曲のミュージックビデオを公開しました。
この曲は、感染拡大防止の呼び掛けを目的として制作された楽曲で、医療現場の最前線で闘っている医療従事者への感謝や、外出自粛を続ける人々を元気付ける内容が歌詞に込められています。
ミュージックビデオは、メンバー自身がスマホなどのカメラで自宅などで撮影した映像や、緊急事態宣言によって人が少なくなった町の様子なども映されており、コロナ禍の影響を象徴するような映像となっています。
また、このミュージックビデオには、卒業コンサートを延期した1期生の白石麻衣さんを含めた現役メンバー全員に加え、センター経験者で1期生の生駒里奈さん、西野七瀬さん、初代キャプテンの桜井玲香さん、卒業後にテレビ局でアナウンサーとして活躍していた市來玲奈さん(日本テレビ)や斎藤ちはるさん(テレビ朝日)などの卒業メンバーが参加しました。
卒業メンバーが現役メンバーと共に楽曲を制作したのは乃木坂46では初めてで、大きな話題となりました。
当初はYouTubeでのミュージックビデオ公開のみでしたが、反響が大きかったことを受け、配信シングルとして同年6月17日にリリースされ、新型コロナウイルス対策の活動支援を目的として、その収益を全額寄付することとなりました。
3期生の梅澤美波さんは、
「世界中の隣人よ」は、自分のスマホで撮った映像をミュージックビデオに使ったりとか、もう異例じゃないですか。誰もがそうだと思うんですけど、そういうことを考えたことがなかった。でも、「そんなことができるんだ!」って、あの状況でできることをひとつひとつクリアしていったことで、「あぁ、できるできる!、乃木坂46はできる!」みたいな感じで、ひとつずつ自信を取り戻せていったことが大きかったと思います。
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【公式】乃木坂46 『世界中の隣人よ』
今できること
同年6月19日から21日にかけて、「乃木坂46時間TV『はなれてたって、ぼくらはいっしょ!』」がABEMAで配信されました。「乃木坂46時間TV」は、それまで3回実施されており4回目の配信となります。
一部VTR部分はあるものの、番組名どおり46時間の生配信で、コロナ過によりメンバー同士が近づくこともままならず、各企画に登場するメンバーは1~2名程度に絞られ、その他のメンバーはそれぞれ専用の個別ブースから放送をモニターで見ながら参加するという形が取られました。
ただでさえ準備や運営が大変な46時間TVを、この時期に実施するのは、想像を絶するほどの苦労があったと思いますが、活動が制限され乃木坂46に飢えていたファンにとっては、大変うれしい配信になりました。
他にも、過去のライブ映像などを配信する動画サービス「のぎ動画」をスタートさせるなど、未知のウィルス蔓延による緊急事態宣言の発出という誰も経験したことがない状況の中で、できることを模索し様々なものをファンに届けてくれました。どんな困難な状況にあってもできることはあることを、乃木坂46は教えてくれました。
◆乃木坂46に学ぶ人生で大切なこと◆
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