メンバーは全てオーディション
乃木坂46のメンバーは、全てオーディションで選ばれています。2011年の結成時に選ばれた36名は1期生と呼ばれています。その後、2013年に2期生オーディションが行われ13名が選ばれています。彼女たちは、直ぐにグループに合流したわけではなく、まずは研究生として活動を始め、レッスンなどの成果によって正規メンバーへと昇格する形が取られました。
2016年には3期生12名が加入。加入直後は、3期生のみでのレッスンや活動などが続きましたが、2期生のときのような研究生の制度は取られませんでした。
2018年の4期生のオーディションは、乃木坂46としてではなく、乃木坂46、欅坂46(現・櫻坂46)、けやき坂46(現・日向坂46)の3グループ合同オーディションという形で募集され、39名が合格し研修期間を経た後に各グループに配属されました。乃木坂46には最初に11名が配属され、後に5名が追加で配属されました。その5名は当初は便宜上、新4期生と呼ばれていました。
2022年には、史上最多87852人の応募者の中から11名が選ばれ5期生が加入しました。
プロデューサーである秋元康さんによると、オーディションでは、多数決だけではなく、誰かひとりでも強烈にその子を採用したいと思わせるような子を採用するようにしていると、各種のインタビューなどで答えています。そのためでもあると思いますが、乃木坂46には個性的なメンバーが多数存在しています。
この子は大丈夫だろうか?
乃木坂46に新規加入してきたメンバーで、大きく印象に残っているひとりに4期生の北川悠理さんがいます。北川さんが加入したのは彼女が17歳の時、父親の仕事の関係でアメリカで生まれ、その後も日本とアメリカを行ったり来たりしていたという帰国子女です。加入時の彼女は、とてもおっとりとした印象で、お見立て会という加入後に初めてファンの方にお披露目されるイベントで行われた自己PRでは、英語での自己紹介の後、「今日は私の大好きなものについて、ポエムを披露したいと思います。」と言って、以下のポエムを詠みあげました。
空。
もとより私は空が好きなのだ。
雲の上でピクニックをしたらどんなに気持ちのいいことか。
空に浮かぶ公園で遊んだらどんなに楽しいことか。
でも、いつも近くにいるはずなのに、私はその存在、正体をなにも知らない。
空のしっぽを掴もうと、14駅分空を見ながら歩いたこともあった。
でもただ幸せな気分になっただけで謎はベールに包まれたまま。
何者かわからない私の大好きな空は、今日もまた謎を感じさせないくらいに謎めいていた。
空ってなんですか?
そんな彼女を見て、私が思ったことは「この子はみんなとうまくやっていけるだろうか」という心配でした。学校のクラスにも、個性的な生徒が必ずと言ってよいほど、ひとりやふたりはいたと思います。しかし、みんなとは違う言動をとったりするような子は、時にイジメの対象になることもあります。日本人とは異なる考え方を持つことも多い帰国子女の子は、その対象になってしまうケースも多々あるでしょう。私には加入直後の北川悠理さんは、得てして、そのような子に見えていました。しかし、私のそんな心配をよそに、北川悠理さんはメンバーやファンからも愛され、2020年には慶應義塾大学に進学し、クイズ番組などでも活躍し、楽しそうに活動しています。
乃木坂46には、学生時代に友だちともなじめず、孤独を感じていたような子が、少なからず存在しています。乃木坂46で歴代でもトップクラスの人気を誇った1期生の白石麻衣さんは、群馬県の中学校に在学中、学校でいじめを受けて不登校になり、卒業後は母親と共に埼玉県へ引越し同県の高校へ進学した経緯を持っています。その他にも、それぞれセンター経験もあり人気のある1期生の齋藤飛鳥さんや4期生の賀喜遥香(かきはるか)さんも、小学生時代に不登校を経験しています。
苦手なことも武器になる
このように集団に馴染めなかった経験を持つ子たちが、乃木坂46で活躍しています。香港生まれで、彼女もまた北川悠理さんと同じく帰国子女である新4期生の黒見明香(くろみはるか)さんは、加入前に参加したオーディションセミナーでメンバーである秋元真夏さんから聞いた話のことを、加入後初めてのブログで、以下のように記しています。
私は運動神経が悪く、かけっこは毎年ビリ、逆上がりもできず、自転車に乗れず、騎馬戦では囮(おとり)として学年中から追っかけられたり、給食のパンが詰まって保健室にお世話になったり...と、いつも“まわりの方に迷惑をかけないように>_<”と思っていました。
中学校に上がってもカタカナが怪しく「オケーストラァ」「テェッシュー」と書いて、学校で『バレないように気をつけてね(´・ω・;)』と心配されたりしていました。
苦手な事を恥ずかしく、申し訳なく思って隠していたけれど、秋元真夏さんの「得意なことも、苦手なことも武器になる」というお話を聞いて本当に驚きました!
そのお話が私に勇気を与えてくれ、オーディションを受けるきっかけとなりました。
テレビ番組「アメトーーク」の“運動神経悪い芸人”が話題になるように、アイドルという職業も、運動神経が悪いことや、カタカナが怪しいことで笑いとなり、武器になります。乃木坂46でいえば、冠番組の「乃木坂工事中」では、MCとしてバナナマンがいるので、どんなことでも、バナナマンが笑いに変えてくれるのです。
乃木坂46を見ていると、メンバー同士を、とても認め合っています。誰が、どんなことを言ったり、したりしても、「それがあなたの個性だから」と、決してそれを否定するようなことはしません。北川悠理さんがお見立て会で披露した例の自己PRも、チェックのために事前にスタッフの方々の前で行ったそうですが、「北川だけ空気感が違う」「すごくいい意味だよ」と言われたそうです。そのことに対し北川さんは「人と違うことがプラスだと思ってもらえるんだ」と思ったと述べています。スタッフのこの姿勢が、メンバーにも浸透しているのかもしれません。どんなことでも肯定してもらえるので、素の自分をさらけ出すことができるようになり、活動がより楽しくなった、と言っているメンバーも多数います。楽しそうに活動しているメンバーを見ることで、ファンも楽しい気持ちになります。
◆乃木坂46に学ぶ人生で大切なこと◆
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